金沢大学 太田富久 教授インタビュー

EH株式会社(エクセルヒューマン)では、業界の垣根を越えた連携による商品開発に取り組んでまいりました。このサイトでは、EH株式会社とともに商品の研究開発を行っている様々な大学の研究機関を、現役の学生であり、その大学の学生であるミスコンテスト受賞者が訪ね、産学連携の取り組みとそうして生まれていった商品についてご紹介します。

長田:ミス金沢大学医学展2014グランプリの永田と申します。昨年度の産学連携インタビューではお世話になりました。本年度も何卒よろしくお願いいたします。
今回はどのような商品を開発なさったんですか?

太田教授:健促純菜・ドルミナリです。韓国名はドルミナリと言って、日本ではセリです。セリっていうのは万葉集で既に出てくるくらい昔から食べられている植物で、昔の恋歌って男性が女性に送って女性が返歌を寄こしたりして、そういうところにもセリが出てくるんですよ。もともと私たちは金時草の研究をして製品化をしているんですけれども、それとは別の角度から体にいい食べ物ということでセリを選んでるわけなんです。生薬名は水芹(すいきん)といい、韓国では健康食品として使われているんですけれども、日本では食品として使われてきている段階です。

長田:セリは七草粥に入っていますよね。

太田教授:そうですね。いい匂いがするので頭痛薬に使われたり、風邪からくる頭痛などにも使われたり、あとは生理不順とかですね。結構いい作用があります。研究面から言うと、抗酸化作用が強い。抗酸化作用は食品でも化粧品でも注目されてきていて、アンチエイジングなどにも。アンチエイジングはみなさんまだそのことについて考えているかわからないんですけれども(笑)、二十歳くらいから女性の肌は変わり始めて荒くなっていったりするんですね。そういうことも若いからといって安心しないで、肌をきれいには保つために抗酸化作用を持つものを食べたり、化粧品を使ったり。専門用語で言えば抗加齢、英語で言えばアンチエイジングですが、若い人でも肌を保つためにはぜひ考えていってほしいなと思います。
その中のひとつがセリです。いま説明した抗酸化作用に加えて、抗炎症作用があり、私たちの体の活性酸素がATPを作るために活性酸素が絶えずできているわけですけれども、余分に作られたりしていて、その活性酸素が体を錆びさせたりする元になっているわけです。それを壊すのが抗酸化物質になります。活性酸素が体のあちこちの組織で過剰にできていると、少しずつ弱い炎症のようなものが起きていくんですよ。シミやシワなども一種の炎症の結果といってもいいくらいなんですね。そういう炎症を抑える作用があります。

長田:素晴らしいですね!そちらが今回の商品の効き目なんですね。

太田教授:そうですね。それから解毒作用もあります。お茶もそうなんですけれど、解毒作用って重要なんです。昔はいまよりも毒に関する知識や情報が少ないので、日本だと毒見の人がいたんですけれど、韓国だと銀のスプーンを使います。(ヨーロッパもそうかな。)銀のスプーンが黒くなると、毒が入っているといわれていました。全部ではないと思うんですけれども。(笑)毒に当たったというときは毒消しを飲んだんですね。それがお茶だったりセリだったり。そういう歴史があります。
しみ、しわ予防の可能性があるセリですが、まだ化粧品には使われていません。セリは栽培が難しく、石川県では、単位でいえば約2トンだと思いますが、あまりたくさんは作られてはいません。せいぜいお正月のお雑煮に少し作られていたくらいで。
私たちはセリの健康効果を知ってもらい、使ってもらうために、農業法人に栽培委託をしています。去年の実績で約25トンの生産でした。それだけ使ってくださる方がいらっしゃるということだと思います。

本田:わたくしミス金沢大学医学展2014ファイナリストの本田と申します。金沢大学医学部6年生です。様々な効果があることをお聞きしましたが、こちらはどういう悩みを持った方に飲んでほしいかなどあれば教えて下さい。

太田教授:肌の変化に気がついた人ですとか、あとは足腰が痛いときなどにおすすめですね。
セリ科の植物が持つ芳香が神経系に作用するので、人を元気にする作用と、関節痛を抑える作用がありますよ。
生薬として作用するためにはたくさん飲まなければいけないとも思うんですけれど、抗酸化作用や抗炎症作用は毎日少しずつ飲むことによって抑えられていくと考えます。
秋冬はかぼちゃとかりんごやぶどうやレンコンなどいっぱいありますが、食材のひとつとして食べるといいなと思います。

本田:足が痛くなったから飲もうというわけではなくてなんですね。笑

太田教授:そういうわけではないですね。関節の痛みですと、生薬系でいいのはハトムギと言われていて、そういう処方があります。

長田:生薬ならではの良さはその製品に生かされているのでしょうか。

太田教授:そうですね。いろんな成分が入っているので、普通の医薬品のようにターゲットを絞ってここに効くという薬ではなく、中品という扱いになります。
紀元前2000年くらいに神農本草経っていう薬草書が編纂されたんですけれど、そこに上品中品下品とあり、いくら飲んでも大丈夫なものは上品、効き目はあるけれど飲み過ぎに毒性がある場合もあるので注意するのが中品、作用は強いけれど毒性があるものが下品。セリは中品にあたります。
医薬品のように単純な成分でターゲットも単一だと、効き目はあるんだけれどもそれに伴う副作用が出てくる。そのためお医者さんのコントロールが必要になる。
生薬か漢方薬ももちろん指導のもとに飲むんだけれど、飲んでいるとこういう飲み方がいいんだとだんだんわかってきて見方が変わってくる。
患者さんがだんだん体が良くなってきたから減らそうかといって減らすことは歓迎で、自分の体調に合わせて飲むことができると考えています。

本田:医者と漢方医の先生と共同で開発などはしたりするのですか?授業でも漢方の授業があるなかで、漢方の外来もあるとお聞きして、それとも関連があると思いました。

太田教授:共同での開発は意外と少ないんです。医学部の中で漢方は本当に最近で、ここ数年以内くらいに授業が始まったほどです。
お医者さんの医学界からいえば、漢方をだんだん受け入れる体制ができてきています。がんも含めて、医薬品だけでは治らない病気もだんだん増えてきていますので。
生活習慣病はどうしても原因が単一じゃないので、色々な成分が入ったもののほうが対処しやすくお医者さんも処方しやすいことがあげられます。たとえば内科医の90%くらいは使ったことがあるというくらいにまでなっています。
しかしながら、東洋医学や漢方医などは、症状に合わせて薬を出すのは本来の使い方ではなく、その人の体質に合わせて漢方を処方するのが本来であると述べることがある。
いまはどちらかといえば、西洋医学などの医学界のほうが主流で、漢方や食品などを使う流れになってきています。

本田:産学連携のメリットなどはあるのでしょうか?

太田教授:製品を作るときに科学的な根拠や、研究成果が付いていることによって、飲む人に安心して飲んでもらうことができるというメリットがあります。

本田:産学連携に至った経緯などを教えてください。

太田教授:以前から食品素材の研究をしているんですが、金時草の成果がではじめたのが3〜4年前からでした。 金沢大学が金時草を研究しているということが、EHさんに行っている方に偶然耳に入って、いちど産学連携のお話しをする機会があった。EHさんがエビデンスのきっちりあるものを作りたいというニーズがあり、私たち金沢大学も金時草を広めたいというニーズがあり、それがたまたま一致した経緯があります。

本田:商品をどのような形で展開をしていきたいということはありますか。

太田教授:サプリメントとしてではなく、食品に近い形で体に健康効果があるものとして展開していきたいと考えています。サプリメントだと敬遠してしまう方もいらっしゃいますが、食品の延長線上にあれば色々な摂り方ができると考えます。粉末状なんですけれども、例えばお味噌汁にいれて混ぜたり、ご飯に入れて炊いたりなどできます。
通常のお野菜をたくさんとる時間がない方が結構いらっしゃり、そのような方には最適である素材だと考えます。

太田教授:お客さんの中では、ふりかけの代わりとしてご飯にかける方や、ヨーグルトに入れたり、卵焼きのなかに入れるなど、私たちが驚くような食べ方をしていらっしゃる方もいらっしゃるぐらい、サラダ感覚となっています。
私はキャベツの千切りに混ぜて食べています。彩りも変わりますし、キャベツ単体の味からも変わっておいしいです。

長田:粉末状のものは、どのような味なんですか?例えばヨーグルトにかけても美味しいんですか。

太田教授:抹茶のような味です。回転寿しにある粉茶を薄めたような味です。色は変わりますが、混ぜても味はほとんど感じられないと思います。
味にクセはないですね。特有の味はないのですかときかれてしまうくらいです。また、味に特徴がないのは食べ続けることが長続きすることにつながると思います。

長田:味に好き嫌いがない、という感じでしょうか。

太田教授:好き嫌いに関係ないと思います。粉が嫌だという人はまた別でしょうけれど。

太田教授:金沢の人でも若い方はなぜか、あまり金時草をたべないんですよね。お三方は普段、金時草を気にして食べていますか?

一同:そんなには食べないです。

太田教授:なぜ食べないんでしょうね。値段が高いのと、食べ方がわからないのでしょうか。

太田教授:おひたしと酢の物、なんですよね。食べ方を広げないとなと思っているんですけれど。刻む食べ方と、簡単にきる食べ方とで違いますがサラダに合わせるのは非常によいですよ。
食品のなかにまぜてつかっていただけるよう、粉末を作ったりもしています。

長田:粉末にすることによって、年中使えるということでしょうか。

太田教授:そうですね、乾燥した粉末にすることにより、年中つかえるようになっています。
ご年配の方などは噛む力が弱ってきているので、粉末だととりやすいというお話もいただきます。

長田:ドルミナリも同じような感じでしょうか。

太田教授:そうですね。今回も同じく細かくするかたちにするお話になります。

長田:ドルミナリは25トンも生産されてるんですよね。

太田教授:そうですね、金時草が約70~80トン、ドルミナリが約25トンです。
金時草に比べてまだセリは少ないですね。農業試験場なんかも、金時草はそんなに作れるのかと驚かれることがあります。
金時草はもともと裏が紫なので、紫色を利用した食べ方が多かったのです。おひたし以外は。茹でたときに紫色の汁が出るので、寒天で固めたり、ご飯を炊いたりが多くて、紫色のイメージが強いです。紫色をだすには半日陰といわれていて、午後日陰になるところでわざわざ栽培したりしていた。しかし、いろいろ研究しているうちにその紫色はあまり成分に大きい影響はなく(ムチンという成分が入っているんですが)、日がさんさんと照るところで育ったもので十分だということがわかったので、緑色の製品として出している経緯があります。その緑色の製品として最初に出したとき、金沢の地元の人は紫色じゃないことに違和感をおぼえたと思うんです。紫色=金時草というイメージだったので。

太田教授:今回のドルミナリも、一般的な製造方法とは違って、金時草と同じように粉末となりますので先生の指導のもとでできる限り植物としての栄養価を重視して監修していただいています。

長田:学術的根拠があるということなんですね。

太田教授:そうですね。

太田教授:同じ粉末になるので、金時草とセリとどう違うかと思う方もいらっしゃると考えるのですが、抗酸化作用はセリの方が強いです。金時草の特徴は血糖値が下がり血糖値コントロールができたり、免疫力を強化するので、疲れたときや元気がないときにはすごくよいと思います。セリのほうは肝保護作用があり、がん予防につながったりする。ちゃんと違いがあります。
また、セリは香りがありますし、金時草のほうは味も香りもほとんどないので、夏野菜の金時草、冬野菜ドルミナリといったように、夏野菜と冬野菜を同時に取るのも案外いいかもしれません。

本田:ドルミナリは味がなくて香りが強いのでしょうか。

太田教授:味は七草粥のセリという感じで、お客様からはお茶に入れたら薬膳っぽい香りになるときいています。特有の香りがあり、味自体はあまり感じないです。

太田教授:もともと味というよりは香りでセリが使われます。お雑煮に入れるのも香りを持って入れます。25トンといいますが、なかなか作るのは大変なのですが。(笑)道の休耕田になったところにたくさん生えているので簡単にできるのかと思いますが、実際に作ろうとすると雑草が混じってきてしまうので。夏にセリは水を張らないで作っていただいていたら、雑草がいっぱいで整理が大変であると農家の方から仰られて。また、栽培するのに水が大事である植物ですので、水はこだわって作っていただいています。

井上:ミス金沢大学医学展2014ファイナリストの井上と申します。お話のほど誠にありがとうございます。太田先生のお話しを大変興味深く聞かせて頂きました。最後に、大学生活に対してアドバイスをお願い致します

太田教授:勉強しているだけではなく、自然に目を向け、色々と見聞きすることがいいことだと思います。好奇心が大事かなと思います。このキャンパスにもキジが住んでいて、いまさっきここからみえていたんですよ。奥に行けばカモシカも時々出ます。

本田:体育館でタヌキを見たことがあります。

井上:好奇心というのは、分野は問わずにでしょうか。

太田教授:分野は問わずにですね。食べ物と同じで、偏るのがよくないですよね。普段の生活も。

井上:関心の目をあらゆることに向けることが発見につながるということでしょうか。

太田教授:そうですね。勉強にも跳ね返ってくることだと思います。

井上:先生の好奇心はいくつくらいに形成されていったのですか。

太田教授:幼稚園くらいですね。僕は長野市なんですが、自転車で行ける範囲に化石が取れる場所があったりして化石をせっせと集めたりしていましたね。そのうちに地球に関する本が気になり。

井上:誰しも好奇心があったはずで、それを大人まで持ち続けられる人と持ち続けられない人とでわかれると思っています。どうしたら持ち続けられると考えていらっしゃいますか。

太田教授:教育の現場で学生さんに、勉強の成果を上げてもらうためにどうしたらいいかということを教授会で話をしていて、行き着いた結論は問題解決能力が大事だということに。問題解決能力がどうしたらうまくまとめられるかに繋がっていくことなんですけれども、一つだけのやり方ではなくて、いくつものやり方が持てるということが大事だと思います。好奇心を持っているということは問題にぶつかったときに、突破口になりえますね。いろんなところに目が配れるようになると思います。好奇心をもっていることが、知識と知識を有機的に結びつけて物事を進めていくことができることにつながると思います。

太田教授:お三方とも勉強や研究の専門分野がありながら、モデルの興味があっても、それは可能性の一つだと思います。人と接する仕事だとしたら、専門以外の何かを持っていたら、相手にとって魅力でありますし、自分への興味も増すのではないかと思います。

一同:本日はありがとうございました。